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今月の節税Q&A

短期前払費用

令和3年5月

 

費用の支払いについて、1年分を前払いすると全額経費にできると聞きました。そこで事務所の家賃を1年分前払いして全額を経費にしようと考えております。何か注意することはございますか。

 

前払費用のうち、一定の契約に基づいて継続的にサービスを受けるもので、一定の要件に該当する場合には「短期前払費用」として支払い時に全額を経費とすることが認められます。

 

短期前払費用と認められる要件は次の通りです。
・支払った日から1年以内に提供を受けるサービスに係るものであること
・支払った金額を継続してその事業年度の経費としていること

なお、この短期前払費用の対象となる主な支出としては、「家賃や地代」、「リース料」、「保険料」、「支払利息」などがあります。

注意する点としては、短期前払費用として支払時に経費とした場合には、それ以降も継続的に年払いをする必要があります。来期は利益が少なそうだから月払いに戻すといったことは出来ません。
また、「一定の契約」としてのサービスであることから、前払いとする場合には契約書を変更する必要もあります。

短期前払費用については、課税上において弊害のない範囲内で適用するものであり、この取扱いを悪用した利益操作等の行為は認められません。短期前払費用に係る税務処理が重要性の原則で認められた範囲を逸脱していないかどうかの判断が必要になります。この場合には、前払費用の金額だけではなく、その法人の財務内容に占める割合や影響等も含めて総合的に考量する必要があります。
また、費用の1回あたりの支出額が多くなるため資金繰りに影響が出る場合があります。

こうしたことから短期前払費用の適用については慎重に検討することが必要となります。
詳しくは税理士法人髙木会計までお気軽にお問合せください。(伊藤)