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今月の節税Q&A

相続時精算課税

令和3年10月

Q:相続税対策として相続時精算課税という制度があると聞きましたが、どのような制度でしょうか。

A: 相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

この制度は限度額2,500万円の特別控除額があり、その限度額に達するまで何度でも控除することができ、限度額を超えた金額に一律20%の税率を乗じて贈与税を算出します。
なお、相続時精算課税に係る贈与税を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。

ワンポイント!
相続時精算課税を選択した贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税※」へ変更することができません。
(※暦年課税については、今月の節税Q&A令和3年9月「暦年贈与」をご参照ください。)

 

相続発生時

この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなったときは相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)を加算して相続税の計算を行います。この計算の結果、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告の必要はありません。
なお、相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税を適用した財産について既に納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

ワンポイント!
加算される財産の価額は贈与時の価額となります。例えばこの制度で株式(上場株式や非上場株式の自社株式等)を贈与した場合、贈与後に株価が上がったとしても贈与時の価額で加算されます。つまり、株価が低いときにこの制度を利用することで節税ができます。反対に株価が下がっていた場合は高い価額で課税されるというリスクがあります。

 

相続税の計算

相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。

ワンポイント!
法定相続人とならない孫に対してこの制度を利用した場合には、その孫は相続人となり相続税の計算の対象となります。また、孫の相続税には2割加算がされます。

 

相続時精算課税を選択する場合は適用要件や節税効果について検討が必要です。
詳しくは税理士法人髙木会計までお気軽にお問い合わせください。(小島)