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今月の節税Q&A

長期前払費用の例外的な取扱い

令和4年12月

:「今月の節税Q&A」令和3年5月号、短期前払費用編において、一定の要件を満たす場合には、1年以内の短期前払費用を経費計上できると解説されています。したがって、1年を超える長期前払費用の場合には、経費計上できないことになりますが、少額の長期前払費用でも経費計上できないのでしょうか?

:少額の長期前払費用の例外的取扱いとして、自賠責保険料の支払いは、支出年度に全額計上を認めるという取扱いがあります。

 まず、一般的な経費の計上基準は、①期末までにサービス等を受け、②その金額を合理的に算定することができ、③債務が確定したものを経費計上するというルールがあり、保険料の場合、契約期間のうち支出年度に対応する金額に限り、経費計上が認められます。

 そして、「今月の節税Q&A」令和3年5月号、短期前払費用編の通り、一定の要件を満たす場合には、継続適用を条件に1年以内の前払費用の経費計上が認められ、1年を超える長期前払費用の場合には、その長期前払費用のうち翌期以後分の経費計上は認められないこととなります。

 上記内容を踏まえますと、自賠責保険料は、契約期間が通常3年であることから長期前払費用に該当し、翌期以後分は経費計上が認められないこととなりますが、①契約期間が(比較的短い)最長3年であり、保険料が少額であること、②自動車損害賠償保障法により加入が強制されていること、③支払わない場合に車検等の手続きが通らないことから、重要性の原則に基づき、自賠責保険料の全額を支出年度において経費計上することを認めるという取扱いになります。

 また、自賠責保険料を支出年度に一括計上することで、経理処理の簡素化、効率化を計ることもできます。
 なお、自動車保険料等の損害保険は、任意保険であることから、自賠責保険料の取扱いは認められず、契約期間に応じ、長期前払費用の場合には、翌期以後分の経費計上は認められないこととなります。

詳しくは税理士法人髙木会計までお問い合わせください。(松井)