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今月の節税Q&A

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

令和5年4月

Q:教育資金を孫へ贈与した場合、1,500万円までは贈与税がかからないと聞きました。具体的な内容を教えてください。

 

A:受贈者(孫など一定の要件を満たす者)が直系尊属(祖父母など)から金融機関等との一定の契約に基づき、教育資金に充てるための金銭等を取得した場合には、1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税が非課税となります。

 

 

教育資金とは

    • 学校等に対して直接支払われる金銭

入学金や授業料、入学試験の検定料、学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用。

    • 学校等以外の者に対して直接支払われる金銭で教育を受けるために支払われるもの

学習塾やスポーツ(野球、サッカーなど)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導料やその活動に使用する物品。通学定期券代、学校等が必要と認めた学用品等、留学のための渡航費などの交通費。

 

非課税制度を受けるための主な要件

    • 贈与期間

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間の贈与であること。

    • 贈与の非課税限度額

1,500万円までの金額に相当する部分の価額。なお、学校等以外の者に支払われるものについては500万円を限度とする。

    • 教育資金非課税申告書の提出

金融機関等の営業所等を経由して提出する。

    • 贈与財産

金融機関等の営業所等にて教育資金口座の開設等が必要となり、下記に該当する場合。
  ①書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
  ②書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合
  ③信託受益権を取得した場合

    • 受贈者

30歳未満の方で、直系尊属から贈与を受けた者。
※その贈与財産を取得した年の前年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税制度の適用を受けることはできません。

 

教育資金口座に係る契約期間の終了による贈与税

    • 受贈者が30歳に達した場合等によって契約が終了した場合には、当該贈与した残額について贈与税の課税価格に算入され、基礎控除を超えるなどの場合は贈与税が発生します。
      なお、令和5年4月1日以降に取得する資金等について、当該贈与した残額に贈与税が課される場合
      「一般税率」が適用されます。

(※「一般税率」については、今月の節税Q&A令和3年9月「暦年贈与」をご参照ください。)

 

贈与者が教育資金口座に係る契約の終了の日までに死亡した場合

    • 一定の事由に該当する場合を除き、当該贈与した残額が相続等により取得したとみなされます。
      一定の事由とは、贈与者の死亡日において、23歳未満の場合、学校等に在学している場合又は教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合です。

      また、令和5年4月1日以降に取得する資金等について、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満である場合等であったとしても、当該贈与した残額を相続等により取得したとみなされます。
      なお、受贈者が相続人以外の孫である場合には、相続税額の2割加算の対象となります。

出典:国税庁HP「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」より

上記以外に領収書等の提出やその提出期限、年齢による教育資金の対象の制限など細かい要件がございますので、当該非課税制度を利用する場合は注意が必要です。
なお、令和5年3月27日時点(令和5年税制改正大綱の内容を含む。)の内容になっております。

詳しくは税理士法人髙木会計までお気軽にお問い合わせください。(小島)