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今月の節税Q&A

適格請求書(インボイス)の取扱い(ETC、海外予約サイト、フリマアプリ)

令和6年4月

:令和5年8月にインボイスの保存省略に関して質問させていただいた者です。昨年10月からインボイス制度が始まり早半年、インボイスの取扱いで補足等ありましたら教えてください。

:令和5年8月後に出された取扱いとして、以下のものをご紹介させていただきます。

① ETCに係る適格簡易請求書の保存簡略化
② 海外サイトでの宿泊予約
③ フリマアプリの古物商特例の適用可否

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【説明】

① ETCに係る適格簡易請求書の保存簡略化

 ETCにより高速代金を支払った場合、原則、高速道路会社が運営する「ETC利用照会サービス」から、適格簡易請求書である「利用証明書」をダウンロードして保存することとなっています。

 ただし、「利用証明書」の保存に関して、ETCの利用は多頻度にわたり、全ての利用証明書の保存が困難なときは、ETCに係るクレジットカード利用明細書と、利用した高速道路会社の利用証明書「1回分」を併せて保存することで、ETCに係る仕入税額控除を行って差し支えないという取扱いとなっています。

 なお、「ETC利用照会サービス」へは、メールアドレス、ETCカード番号、利用年月日、車載器管理番号、車両番号下4桁の情報をもとにインターネットを通じて登録します。

 

② 海外サイトでの宿泊予約

 まず、海外の宿泊予約サイトの運営者が、インターネット上で宿泊予約サービスを提供するのみで、インボイス発行事業者でない場合があり、当該海外予約サイトが発行する領収証では仕入税額控除できないケースがあります。

 このようなケースの取扱いとして、国税庁から「予約サイトの運営者が適格請求書発行事業者ではないなどの理由により、媒介者交付特例を適用できない場合に、課税事業者である顧客から適格請求書の交付を求められた際は、委託者においては、適格請求書の交付義務が生じることとなります」(国税庁「多く寄せられるご質問」問17注書き)という見解が出ており、簡略化しますと、(インボイス発行事業者である)旅館等は、宿泊客(課税事業者である顧客)にインボイスの交付を求められた場合、インボイスを発行する必要があるというものです。

 したがって、インボイス発行事業者でない海外宿泊予約サイトを利用する場合には、フロントでインボイスを発行してもらう必要があります。

 

③ フリマアプリの古物商特例の適用可否

 まず、古物商特例とは、古物営業を営む者が、適格請求書発行事業者でない者から古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)を購入した場合、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除できる取扱いです。

 この古物商特例とフリーマーケットアプリ(フリマアプリ)の関係は、フリマアプリの出品者に個人と事業者が混在し、「適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入」が確認できない為、古物商特例の要件を満たさないものとされます。

 ただし、「適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入」が確認できれば、フリマアプリでも古物商特例を適用できることから、フリマアプリで古物商特例を適用する場合には、フリマアプリのチャット機能を利用するなどして、出品者が「適格請求書発行事業者でない者」と確認した上で古物商特例を適用することとなります。

 また、出品者が適格請求書発行事業者であることが確認できた場合には、インボイス及び帳簿の保存が仕入税額控除の要件となります。

 

詳しくは税理士法人髙木会計までお問い合わせください。(松井)

※この記事は令和6年3月時点での情報に基づき記載しています。今後内容が変更となる可能性がございますのでご了承下さい。