Q:個人が、ふるさと納税以外の災害義援金などの寄付金を支払う際に気を付ける点がありましたら、教えてください。
A:個人に係る寄付金規定(所得控除・税額控除)は、年末調整では適用されない為、確定申告をする必要があります。さらに、税額控除を適用する場合には計算明細書を添付する必要があります。また、寄付金規定の対象外となるものや、所得税に連動する住民税の寄付金規定の対象外になるものがあります。
具体的に気を付ける点として、所得税の寄付金規定は、国や地方公共団体、特定の法人などに限定される為、「①支払い先、寄付の目的」、そして、寄付金の支払いを証明する為に、「②領収証等の証拠書類の保存」、さらに、所得税に連動する「③住民税の取り扱い」などが挙げられます。
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Ⅰ.支払い先・寄付の目的に気を付ける
所得税の寄付金規定は、下記⑴~⑻等に挙げる国や地方公共団体、特定の法人への支払い(特定寄付金)が対象となります。さらに、下記の⑸私立学校法人への寄付金の場合、教育の振興に寄与するもので、入学に関するものや、特別な利益が寄付者に及ぶものは除かれる為、寄付の目的にも気を付ける必要があります。
⑴国や地方公共団体
⑵公益社団法人・公益財団法人
⑶認定NPO法人
⑷社会福祉法人
⑸私立学校法人・国立大学法人
⑹特定公益信託
⑺政党や政治資金団体
⑻特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など
■ 寄付金の所得控除
【支払い先】
上記⑴~⑻等に挙げる国や地方公共団体、特定の法人
【控除税額の計算】
(その年中に支出した特定寄附金の額の合計額)-2千円=(寄附金控除額)
注:特定寄附金の額の合計額は総所得金額等の40%相当額が限度
■ 寄付金の税額控除
⑴公益社団法人等寄附金特別控除
【支払い先】
公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人、私立学校法人で要件を満たすもの、国立大学法人(学生等に対する修学の支援のための事業に充てられることが確実であるもの)等
【控除税額の計算】
(その年中に支出した公益社団法人等に対する寄附金(一定の要件を満たすもの)の額の合計額-2千円)×40%=(公益社団法人等寄附金特別控除額)
⑵認定NPO法人等寄附金特別控除
【支払い先】
認定NPO法人
【控除税額の計算】
(その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額-2千円)×40%=(認定NPO法人等寄附金特別控除額)
⑶政党等寄附金特別控除
【支払い先】
政党や政治資金団体
【控除税額の計算】
(その年中に支出した政党等に対する寄附金の額の合計額-2千円)×30%=(政党等寄附金特別控除額)
注1:⑴~⑶の寄附金の額の合計額は原則として所得金額の40%相当額が限度
注2:⑶の特別控除額はその年分の所得税額の25%相当額が限度
⑴及び⑵の特別控除額の合計額はその年分の所得税額の25%相当額が限度
注3:上記算式中の2千円は、寄附金控除と寄附金特別控除(税額控除)とを合わせた金額です。
Ⅱ.領収証の保存に気を付ける
寄付金控除の適用を受けるには、寄付先から交付を受けた受領証(領収書)を確定申告書に添付又は提示する必要があります。なお、義援金を支払う場合において、受付専用口座が設けられるときには、銀行振込に係る振込票を証明書類として取り扱って差し支えないとされております。
さらに、寄付金特別控除(税額控除)の適用を受ける場合には、それぞれの規定ごとの計算明細書を確定申告書に添付する必要があります。
そして、公益社団法人等寄附金特別控除の場合には、①寄附金を受領した法人の名称、受領した旨、寄附金がその法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である旨、寄附金の額および受領年月日を証する書類及び②所轄庁のその法人が税額控除対象法人であることを証する書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。
認定NPO法人等寄附金特別控除の場合には、寄附金を受領した旨、寄附金が認定NPO法人の主たる目的である業務に関連する旨、寄附金の額および受領年月日を証する書類を確定申告書に添付する必要があります。
政党等寄附金特別控除の場合には、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」を確定申告書に添付する必要があります。
Ⅲ.住民税の取り扱い
住民税の寄付金規定は、住所がある自治体(県・市町村)が条例により指定している寄附金を支出する場合には、寄附額の2,000円を超える部分について一定限度まで個人住民税から税額控除されます。なお、国に対する寄付金、政党等に対する政治活動に関する寄付金は条例指定寄付金の対象外となります。また、愛知県の場合、以下の法人に対する寄付金は、対象外となります。
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- 公益財団法人 日本ユニセフ協会
- 公益財団法人ロータリー日本財団
- 公益財団法人ロータリー米山記念奨学会
- 特定非営利活動法人 国境なき医師団日本
- 特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
ワンポイント!
寄付金控除又は税額控除を受ける場合には、領収証から支払先や、大まかな寄付の目的が分かりますので、まずは領収証を保管していただくことが重要です。領収証を保存した上で、私立学校法人等への寄付金の場合には、寄付の目的が明記されているか気を付ける必要があります。また、愛知県では日本ユニセフ協会への寄付金が住民税の税額控除の対象外になること等もありますので、条例により指定されているかも判断基準にして、寄付をしていただければと思われます。
詳しくは税理士法人高木会計までお問い合わせください。
※この記事は令和7年8月時点での情報に基づき記載しています。今後内容が変更となる可能性がございますのでご了承下さい。